「もー、信じられねえ!ていうか、興醒め」
「なになに。どうしたってのよ」
「あいつ、俺以外にも男いんの、もう完璧に冷めた」
十夜は、端整な顔をこれでもかと嫌悪に歪めて小さく吐き捨てた。JJ、こんな綺麗な男の子の他にも手を出すだなんて、やりますね。
飴色の髪が夕日を孕んできらりと光るのをみつめながら、こっそりとそんなことを思う。
「…で、フっちゃったわけね」
「ったり前だろ。ホテルから男と出てくるところ見ちゃったんだぜ。さすがに萎えるよ」
こう見えて、意外にもケッペキな十夜は、口を尖らせながら言う。
「しかも、マジで言い訳がウケルんだよ」
「何々?」
「『とーやだって、いつも生徒会の女の子と一緒にいるじゃない!』…て」
「…物マネ気持ち悪い」
「おまえ!肝心なところはそこじゃないだろ」
「いや、まあ、そうなんだけど…って…」