冬の夜・・・。
ライトアップされたイルミネーション・・・。
駅前にはたくさんの人々・・・。
その中にまぎれこむ恋人たち・・・。
そう。今日はクリスマス。とっても楽しいクリスマス・・・。
のはずだったのに・・・。
突然あんな事になるなんて・・・。
ねぇ、私といて楽しかった?
私といて幸せだった?
私が困ってる時に、いつもそばにいて助けてくれたね。
私が泣いたり悲しい顔をすると『笑って』『笑った顔が一番だよ』
っていつもやさしく言ってたね。
私を慰めたり守ってくれる大きな体・・・。
私をいつもやさしく包んでくれる大きな手・・・。
すべてが大好きだった・・・。
でも今思うと、悲しくてしょうがないんだ・・・。
でもね、私の中にあるのは悲しいだけじゃないんだ・・・。
あなたとケンカしたこと、一緒に笑ったこと、すべてが楽しい思い出・・・。
あなたに会えて本当によかった・・・。
楽しい思い出をたくさんくれてありがとう・・・。
楽しい時間をありがとう・・・。
あなたと過ごした日々、一生忘れない・・・。
あなたと会えて本当によかった・・・。
いままでありがとう。
・・・奏瑠・・・。
「唯ぃー!」
「玲華。どうしたの?」
「『どうしたの?』じゃないよ!隣のクラスの『龍と奏瑠と可威と晄斗』ってめっちゃかっこいいって噂なんだよ!」
「へー。」
「別名『イケメン&美形集団』って呼ばれてんだって!」
「そうなんだ。」
「唯さぁー。恋愛したことないでしょ?」
「あるよ。でも本当の恋愛じゃないから・・・。」
「そうなんだ。」
そう言って玲華は黙ってしまった。と、その時。四人の男子が教室に入ってきた。その四人は唯と玲華の方に向かってきて、話かけてきた。
「こんにちは。俺、山杉龍。よろしく。」
「俺は、鈴木奏瑠。よろしくな。」
「初めまして。俺は、煉夏可威。よろしく。」
「そんで最後が俺、百合丘晄斗。よろしくな。」
「てか、勝手に話かけたうえに、自己紹介までしてゴメンな。」
「えっ、あ、いいえ。」
「ねぇ、放課後俺らと遊ばない?」
「いいよ!私、柏原玲華。よろしくね♪」
「えっ!ちょっ、玲華!」
「ん?どうしたの唯?」
「『どうしたの?』じゃないよ!何、勝手にOKしてるの?」
「えっ!だって、この学校でめっちゃかっこよくて美形集団が、うちらに話かけてきたんだよ!?」
「そうだけど・・・。」
「それに、こんなチャンスめったにないんだよ!このチャンスは絶対逃すわけにはいかないよ!!」
「その気持ちはわかるよ。でも・・・。」
「ね、君名前なんて言うの?」
唯が玲華と話してる途中に美形集団の一人、奏瑠が唯に話かけてきた。それと同時に唯の心臓が『ドキッ』ってなった。
「おーい。」
「えっ、な、何?」
「名前教えてよ。」
『ドキッ・・・。』
また心臓がなった。『どうしてこんなにドキドキするんだろ?こんなの初めてだよ。』
って唯が思ってたその時。奏瑠が心配そうに唯を見ながら言った。
「ねぇ、大丈夫?」
「えっ?」
「具合悪いの?」
「なんで?」
「だって、顔真っ赤だから。」
「えっ、あ、これはなんでもないんで・・・。」
「そう。ならいいんんだけど・・・。で、名前教えて。」
「うん。私は、桜木唯。よろしくね。奏瑠君。」
「よろしく。てか、俺のこと『奏瑠』でいいよ。俺も『唯』って呼ぶから。ダメか?」
「ううん。ダメじゃないよ。」
「アドと番号教えてくれないか?」
「別にいいけど・・・。」
そう言って唯と奏瑠はアドと番号を交換した。
「じゃ、放課後ここで待ってて。俺ら迎えに来るからさ。」
「うん。わかったよ龍。」
「じゃ、放課後な。逃げんじゃねぇーぞ唯。」
「えっ!?なんで私に言うの?」
「だって逃げそうだから。」
「なっ!ひどいよ。奏瑠・・・。」
「奏瑠の言うとおりかもな。」
「可威君までひどいよォ・・・。」
「おいおい。唯ちゃんかわいそうだろ。奏瑠、可威。」
「でも龍。唯ちゃんたち逃げたら、どうすんだよ。」
「んー。その時は全力で探しだす。」
「なっ。龍君も晄斗君もひどい!」
「そうよ!唯はともかく、私は逃げないよ!!」
「玲華。それフォローになってない。」
「えっ、マジ。」
「ははははは。でも、俺らから逃げることできねぇーと思うよ。」
「え?なんで?どうゆう意味奏瑠?」
「知りたかったら、放課後逃げてみ。ま、できるもんならな。じゃ、放課後な唯。」
唯はうなずいて、四人は教室へ戻っていった。
「なぁ、奏瑠。」
「なんだよ龍。」
「お前、唯ちゃんのこと好きだろ。」
「な、なんでそう思うんだよ。」
「俺ら中二からの仲だぜ。そのくらい奏瑠のこと見てればわかる。」
「うっ・・・。」
奏瑠は何も言い返せなかった。
「マジで!でも唯ちゃんかわいかったよな。」
「へー。晄斗と奏瑠は唯ちゃん派か。」
「なんだよ可威。まさか、唯ちゃんの隣にいた『玲華』って奴狙ってんのか?」
「もち!」
「龍はどうなんだよ。」
「えっ、俺?」
「あぁ。」
「俺も玲華かな。」
「マジで。じゃ何。俺らダチでありながら敵どうしかよ。」
「そうなるな。」
「で、奏瑠はいつから唯ちゃんのこと好きになったんだよ?」
「え、いつからって・・・。入学して一・二週間ぐらいからかな。」
「マジ!唯ちゃんの番号とか聞いたのかよ。」
「あぁ。交換したよ。」
「奏瑠聞くの早くね。」
「そうか?」
「いいや。聞いといて正解だぜ奏瑠。」
「どうゆう意味だよ龍。」
「俺、K高のダチから聞いたんだけどよ、唯ちゃん他高でも人気でファンクラブとかもあるらしいぜ。うちの学校の先輩だけじゃなく、先生にも人気みたいなんだ。だから、二階、三階の男子が集まってるところは、唯ちゃんの話でもちきり。
そして職員室は昼休みになると唯ちゃんの話でいっぱいなんだとよ。」
「なっ、なにぃー!」
奏瑠は龍の言葉にかなり、いいや、めっちゃくちゃ驚いた。『俺たちの通ってる学校はともかく、他高まで人気なのは知らなかった。』と思った奏瑠。」
「何、龍。唯ちゃんってそんなに人気NO1なのか?」
「あぁ。確かこの前は芸能事務所の人が唯ちゃんのこといろいろ聞きまわってたらしい・・・。」
「なっ!?芸能事務所の人間が!?」
「それだけじゃない。今、人気爆発中の『佐野恭也』がこの前、唯ちゃんに告ったって話だ。」
それを聞いていた奏瑠は何も言えず唖然としていた。
「唯ちゃん芸能人にまで人気なのか!すごいな!」
「だから奏瑠ガンバレ。」
「何をどうしたら頑張れんだよ!龍!」
「だったら今日告れば?」
「か、可威。マジで言ってんのか?」
「あたり前だろ!唯ちゃん他の奴に奪われてもいいのかよ!?」
「それは絶対にいやだ!!」
「だろ?だったら他の奴に告られる前に奏瑠が唯ちゃんに告るんだよ!」
「わかった。俺、唯に告ってみるよ。」
「おう!頑張れよ!」
「サンキュー可威。」
「俺も応援するぜ奏瑠。」
「あれ?晄斗。唯ちゃん狙ってたんじゃねぇーの?」
「やめた。てか、俺には無理だ。」
「なんで?」
「芸能人には、さすがに勝てない。相手が多すぎる。」