「榊原」

「……なんだよ、本多」

実験器具を片付けに来た本多に声をかけられた。

「あんた、さっきから早坂と紗羅のことずっと見てたでしょ」

「悪いかよ」

「別に?あんたといい早坂といい……二人して紗羅を好きになるなんてね」

「……は?」

俺が紗羅を好き……?

「ちょっと待て。俺は好きだなんて一言も……」

「見てればわかるわよ。あんたら二人ともずっと紗羅のこと見てるからね」

本多は一瞬だけ悲しそうな顔をして自分の席に戻っていった。

俺が紗羅を好き……。

確かによく考えてみれば、あいつを目で追ったりとか翔と話してるの見て嫌な気分になっていたけど……

それは俺が紗羅を好きだったからなのか……?