「ほら、早く移動しよ?あと三分でチャイム鳴っちゃうよ」
「……おう!教室何処だ?」
「第二理科室だよ」
「じゃあちゃんと走るから握ってろよ」
「え!?」
紗羅ちゃんの返事も聞かずに俺は紗羅ちゃんの手を握って走り出した。
最初は軽くだったけど、途中からぎゅっと手を握ってくれた。
少し後ろを見れば、恥ずかしそうに頬を赤く染めていて
そんな姿も愛らしくて、許されるなら今すぐ抱き締めて気持ちを伝えたいと、思ってしまった。
けど、今は早すぎる。
もっと仲良くなってからと、自分を言い聞かせていた。
なんとかチャイムの鳴るギリギリに第二理科室に着き、俺と紗羅ちゃんは自分の席に座った。