俺が好きだった奴に裏切られたことを知ってるのは裕樹だけで、あいつはいつも俺の話を嫌な顔ひとつしないで聞いてくれた。
一番心を許せる友達だと、俺は思ってる。
けど、裕樹も自覚してないだけできっと紗羅ちゃんが好き。
あいつは女の子とあんまり喋らないし、遊ぶなんて一度もなかった。
なのに、普通にOKしていた。
……俺は裕樹が大切な友達でも、紗羅ちゃんだけは譲れない。
また誰かを好きになるってことが出来たのは別になにかしてもらった訳じゃないけど、紗羅ちゃんのお陰だから。
だから俺は、もし紗羅ちゃんが困ってるなら相談にのってあげたい。
助けを求めてるなら、手を差し出してあげたい。
そう思えるくらい、この二ヶ月で紗羅ちゃんのことを好きになっていた。