カツカツ…と人通りの少ない路地に足音が響き渡る。
ある日のバイト帰り、俺はいつもと同じ道を歩いていた。
ふと、立ち止まって空を見上げると月がすごく綺麗に輝いていて月の周りにはぼんやりとした光を放っていた。
その光はまるで月の涙のようだ、と俺は思った。
「ふー…寒いし、早く帰るか」
そう呟き、俺はまた歩き始めた。
そして帰り道にある公園をふと、見てみると
公園の端の方にあるベンチに女の子が座っていた。
自分の身体を自分の腕で抱きしめてうずくまっていた。
いつもの俺なら、気にせずその公園を通り過ぎるだろう。
だけど、何故かその女の子を放っておけなかった。