「吉岡先生。今度貴方のクラスに入る子の資料です。目を通しておいてくださいね」
校長はそう言いながら、俺に資料を渡してきた。
職員室の自分の席に戻り、資料に目を通すと
俺は自分の目を疑った。
桜井紗羅。
俺はこの子を知っていた。
その理由は遡ること十年前。
俺がまだ中二の頃だった。
向かい側に住んでいた女の子。
それが今資料に載っている桜井紗羅だ。
紗羅ちゃんは小学校が越境で友達を遊ぶことも出来ず、いつも家の外にある椅子につまらなそうな顔をして腰掛けていた。
初めは気にならなかったけど、そんな姿をずっと見ていた俺は思い切って話しかけてみたんだ。