「早坂君、どうしたの?」
「ん、なんでもない」
「なら、いいんだけど」
紗羅ちゃんがそう言い終わると、先生に名前を呼ばれた
「早坂君、日本では釈迦と言われている仏教を開いた人物は誰ですか?」
「げ…」
今の授業は世界史で俺に苦手な教科だ
「わかりません」って言おうとした瞬間、紗羅ちゃんに袖を引っ張られ見てみるとノートに答えを書いていた
「…ガウタマ・シッダールタ」
「正解です。あまりよそ見をしないように」
「はーい」
席に着いて、紗羅ちゃんを見ると小さくガッツポーズをしていた
「ありがと」
「どういたしまして!」
本当に紗羅ちゃんはあいつと違った
雰囲気は似てるのに、仕草や表情、匂いだって……
全て、俺を裏切ったあいつとは違っていた
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