まもなくして、始業のチャイムが鳴った

「早坂君」

「ん?」

「まだ教科書持ってないから、見せてもらえるかな?」

「おう、いいぜ!」

机をくっ付けて、真ん中に教科書を広げる

すぐ隣に紗羅ちゃんが来てあることに気付いた

紗羅ちゃんの髪から、ほのかに桜の香りがしてきたんだ

きっとシャンプーの匂いなんだろうけど、すごく落ち着く匂いなんだ

先生が黒板に書いていくことを、ノートに書き写していく紗羅ちゃんの字はすごく大人びていて、黒板を見る表情もすごく真剣

その横顔を見ていると、視線に気付いたのかこっちを向いた