それからどれくらい経ったのだろう


気づいたら辺りは暗くなっていた


「今日はうちに泊まりな」


その言葉に私はうなずきお母さんに電話を入れるため廊下に出た


「もしもし。お母さん?」


「何」


電話の奥ではお母さんの冷たい声が響く


「今日友達の家に泊まるから」


「へぇあんたに友達なんかいるんだ。まぁいいわこのまま帰ってこなくてもいいから」


どうしてそんなことを言われなきゃいけないのだろう…


どうして実の娘が一番辛い時にこんなことを言うのだろう…


お母さんとの電話を切り要の部屋に戻った


「お母さん何だって?」


「いいって…」


私のさっきまでとは明らかに違うテンションに要は心配そうな顔になる


「大丈夫か?」


優しく問いかける彼の顔を見ていたらまた涙が出てきた


「いいよ。我慢すんな。気がすむまで泣きな」


やっぱり要は優しい…


「ううん。大丈夫」


私が笑顔で答えると要は一瞬驚いた顔をした


「やっと笑った」


そう一言つぶやくとお風呂に入ってくると要は部屋を出て行った


私、今笑ったんだ…久しぶりに笑ったな…