「でも、それっておかしくない?」


蒔絵が少し怒ったような口調で言った


「うーん…」


首を大げさなほどにかしげて佳燐ちゃんは蒔絵に返事をする


「だってさ、一年も付き合ったんでしょ?だったら少しぐらい佳燐に悪いとか思うでしょ!なのに何で今更元カノなのよ!」


「まぁね…」


本格的に怒ってきた蒔絵をなだめるように佳燐ちゃんは曖昧に返事をした


私がさっきから思ってることは、


似てるんだ


私が中学時代に付き合ってた彼氏とのエピソードと


ものすごく


だから、もしかしたら…


「ねぇ、佳燐ちゃん」


「なに?」


蒔絵と話していた佳燐ちゃんが不意に私に笑顔を向けた


「その彼氏の名前って?」


一瞬、佳燐ちゃんの顔から笑顔が消えた


けれど、すぐに元の笑顔に戻った


「名前は、岡本流星だよ」


私はその名前に、体が固まっていくのが分かった