要は私の方に駆け寄ってきた


「なつき!」


要はそう言いながら、目を細めた


私の近くにくると、お母さんに小さく会釈して、私に向き直った


「夏樹、行かないで」


そう言うと、要は私の右手を握った


「無理なことだって分かってる。でも、近くにいてほしい」


私は少し俯いて首を横に振った


「無理、だよ」


「行かないでほしい」


「ごめん…」


少し黙って、要はお母さんの目を見つめた


「夏樹を、連れて行かないでください」


「要…」


要の目は真剣だった


冗談を言ってるような目でわなかった


「…要くん、私ね、夏樹にひどいことをしたの、悪かったと思ってる」


要はじっとお母さんの目を見てた


「だから、夏樹には幸せな生活をこれから過ごしてほしいの。ここにいたら、夏樹はいじめられる。だから、連れて行かなくちゃいけない」


「僕が守ります」


「あなた一人に何がでくるの?」


「一人じゃありません!他にも夏樹の見方はいっぱいいます!僕一人じゃないんです!!」


要は強くお母さんに言い放った


いつの間にか、私の頬には涙が流れていた


「……夏樹、お母さんは先に行くよ。あとは、夏樹が自分で決めなさい」


「お母さん?」


「夏樹の人生だから」


お母さんは優しく笑って、ゲートへと歩いて行った