気づいたら夕方になっていた。


もう帰ろう


お母さんのところに


ありがとう、要


好きだよ…


要の家に戻り、荷物を持って、家への道を歩いてた


「夏樹!」


呼び止められ、振り向くと、そこには要がいた


どうして?


要は米川由美と一緒じゃないの?


どうして、ここにいるの?


「要…どうして?」


「俺、一昨日の夜、夏樹の部屋に入ったんだ。そしたら、荷物がまとまってたから、帰るんじゃないかって思って」


そっか、要は知ってたんだ


「そうだよ、帰るの、家に。で、家族3人で暮らすの」


「え?お父さん帰ってくんの?よかったじゃん!」


私は静かに首を横に振った


「違うの、私たちがあっちに行くの」


「あっち?あっちってどこだよ」


「…青森…」


そう聞いた途端、要は何もしゃべらず、全然動かなかった


「じゃ、あ、転校、する、の?」


要は、途切れ途切れに言葉を続けた


「ごめんね、要」


「そん、な…」


「ありがとう、要……バイバイ」


「待てよ!いつ行くんだよ!いつ、あっちに行くんだよ!」


「お母さんがね、私の荷物も全部あっちに送ってくれたんだって。だから、明日にはもう行くよ」


「なら、空港まで行くよ」


「来ないで。別れが辛くなる」


「でも…」


「来ないで!好きな人に来られたら行けなくなる!」


言って後悔した


無意識に口から好きって出でた


私は、そのまま走って家まで帰った