1時間後、要が帰ってきた


「たっだいまー」


いつもとちょっと違う要。


「要、どうしたの?」


「何が?」


「なんか、いつもとちょっと違う気がする…」


要は、少し俯いて、聞こえにくい声で呟いた


「彼女ができた…」


その言葉に私の頭は真っ白になった。


要に彼女ができた?


ウソでしょ?


要は、少し、悲しそうな目をしていた


彼女ができたのに、どうしてそんなに悲しそうなの?


どうして、俯いてるの?


要は、ウソをつくのが下手で、


嫌なことがあるとすぐに俯く


その癖がまだ変わってないのなら、要は、彼女ができたことを嫌だと思ってる


「要、本当のことを言って」


要は黙っていた


しばらくすると、要は私の顔を見て、しゃべりだした


「嫌いな人に、告白されて、嫌って言ったんだけど、無理やりキスされて…」


いままで要を見てきたけど、こんなに悲しい顔をしている要を見たことはなかった。


「…俺、好きなやつがいるんだ。で、そいつのこと、俺が守らなきゃいけないから…だから……」


「守らなきゃいけなくても、要がその人と付き合う理由にはならないよね?どうして付き合うの?キスされたから?そんなの関係ないじゃん!」


要がこんなにも悲しい顔をしてるんだもん


相当嫌に決まってる


要に好きな人がいるというショックを受けるのを忘れるほど私は夢中になっていた。