「藤井」


放課後、不意に呼ばれた声に振り向く


そこには龍泉要がいた


龍泉要は幼なじみでよく二人で遊んでた


今では彼も敵だ


そんな龍泉が今更何の用だろう


私はまた変なことを言われると思ってそのまま帰ろうとした


「待てよ藤井!」


龍泉は私の腕を掴んで自分の方に向かせた


一瞬龍泉の腕が上がり私は殴られると思って身をすくめた


……。


いつまでもたっても殴らない


殴るなら早くしてほしい


そう思って目を少し開けると彼は優しい笑顔で私に笑いかけていた。


しかもなでなでされてる。


「久しぶりだな夏樹」


そう笑って言う彼


その笑顔になぜかドキッとしてしまうという。


久しぶりに感じたひとの優しい温もりにいつの間にか涙が出ていた。