「……水月」
メガネをしていない視界でぼやけてみえるが、その姿はまぎれもない水月だった。
「まこ、せっかくの休みにごめんね。雅が迷惑かけたみたいで」
「迷惑って何?先生がいけないんだよ」
と唇を尖らせながら鬼頭が言った。
「水族館、僕も一緒に行くよ。ちょうど良かったんだ。夏休みとは言え雅をどこにも連れて行けなかったから」
「水月…!」
俺は嬉しさのあまり涙が出そうだった。
「お前は救いの天使だっ」
起き上がって、思わず水月を抱きしめるとこいつは俺の腕の中で固まった。
「ちょっと、あたしの水月を誘惑しないでよね」
鬼頭が俺と水月の間をべりっと引き離す。
「それに何?救いの天使って。あたしらは悪魔かってーの」
Yes。その通りでございます。
心の中で思ったが、俺は口をつぐんだ。