「前はね、俺様で自信家で、自意識過剰でおまけに利己主義者、あたしそういう男って大嫌いだったの」


普通にひでぇな。


自信家で、自意識過剰で―――利己主義者。




それは今でも変わってねぇけど。




「でも今は違う。


迷ったり、つまづいたり、自信無くしたり、あたりまえの人間らしい。


その方がずっとかっこいいよ。ずっといい男」




鬼頭は口元に小さく笑みを湛えて笑った。


「ずっと人間らしい」


小さく漏らして、俺の胸にトンと額をおく。





確かに……


今の俺は迷っている。つまづいている。自信なんてこれっぽっちもねぇ。






でも……



鬼頭の言葉で初めて俺は俺という人間を考えさせられた。