パーキングエリアに到着すると鬼頭はよろよろした足取りでトイレに向かっていた。


「あたし、心配だから見てくる」


楠も後を追う。


残された俺と水月は喫煙スペースでタバコを吸うことにした。


「大丈夫かな、雅……」


鬼頭の後姿を水月が心配そうにいつまでも見送っていた。


「あいつ、最近調子悪そうなんだ。この前も吐いてた。今年は特に暑いからな、夏バテかもしれん。お前、ちょっと注意深く見てやってよ」


肌も唇も荒れてる。それがちょっと夏バテとは違うような気がして気になったが……


俺はタバコに火を点けながら水月を見た。


「夏バテかぁ。そう言えば貧血持ちだって言ってたよね。かわいそうに……」


「まぁ一時的なもんだろ。脱水症状おこさないようになるべく水分多めに取らせて、あと部屋を一定の温度に保ってやって」


俺の言葉に水月はちょっと目をまばたいて、やわらかく笑った。


「なんか、お医者さんみたいだね」


「こう見えても医者なんだよ」


俺はちょっと水月を睨んだ。