遠ざかっていく背中








お願い、置いて行かないで…




独りでは生きていけないよ









――――………

――――――………









「空音、起きろ。」





鋭く透き通った声で

一気に頭が覚めていった。



「…うっ…イタタ…」







朝には強いはずなのに

今日はなんだか頭が痛かった






変な夢見てた気がする…


…気がする、うん。わかんない。




なんで夢って忘れちゃうのかな??




うーん…………






「目開けたまま寝てんの?」





相変わらず怖い顔してるな





「そんなに器用じゃないよ。」



「なら早く布団から出ろ」


「へいへい。」





朝から無愛想な人だ。






「おはゆー、トシくん。」



「おはよう、な。」









夢を忘れてしまう理由を

あたしは知らないけど



覚えていたくないって

頭が言ってるのかもしれない




そんなに忘れたい事は

忘れたままでいいよって


思ったりするんだ。