「お前は、俺に愛されてろ」
「......っ」
その自信満々な彼に今度はこっちが真っ赤になって。経験値の乏しい私は情けないことにそれだけで、腰砕けになり、足元が覚束なくなる。
「好きだ」
「......っわ、わたしも――ん、」
「...あぁ、」
家に行く前に、私がへとへとになってしまったのは...言うまでもない。
「お前キス下手な」
「う、うるさいな...っ」
「や、その方が俺的にいいけど?
瑠璃...」
そう言うと、甘く初めて呼ばれるその名前に舌なめずりをする、彼。
目を閉じればまた、彼に似合わない優しいキスが降ってきた。
彼の居る世界が愛しくて、次に触れ合う唇は涙の味が少しした。
End.