「嫌い...は、言わせねぇ」
囁くように私の耳に響く彼の声。
「...だから、言え」
そんなの、選択肢は一つしかない。それに今気付いたとしても、私にはそれを囁くことしかできない。
「誰よりも、好きだよ」
――あの時以来のそのコトバ。
だけど、つい言ってしまったのとわざわざ想いを打ち明けるのとは、言う側も多分...言われる側も全然違う。
「......っ」
彼の照れる顔もたまには良いかな、なんて。
「今日、家来い」
「わわ、...え?な、何で」
「あ?わかってんだろが」
にやり、と音がするくらいの笑みに少し後ずさった。