校内に響くチャイムの音。
―――今日も、見れた。
何も言わないし、
何も言われない、このいつもの日課。
〝彼〟が、こっちに気付くこともなければ、気付かせる行動をあたしがするつもりもない。
...この、距離感が何だか笑えた。
どちらにしろ一人で帰る帰り道なら、少しでも多く貴方の姿を見ていたいから...。
そんな可愛い思考ができたら、どれだけいいか。
そんな純粋な理由で、いつもここで〝彼〟を見れたらどれだけ、幸せか。
あたしは週に2、3回はこの教室で窓から外を眺める。
哀しいほどに浅はかで、馬鹿らしい理由で。