『おい、待てよ。』

「何?」

私はチャラ男をキッと睨んだ

『ただ名前呼ぶだけなのにそんなに嫌なのか?』

「だって、本当に付き合ってもいないのに名前で呼ぶなんて…」

『あいつのことは名前で呼んでるだろ?』

「あいつ?」

『いっつも3人でいるだろ。』

「颯のこと?」

『そうだよ。』

「颯は幼なじみだし…」


『俺は仮にも彼氏だろ?名前呼ばねぇのはおかしくねぇ?』

「それは、そうだけど…」

『じゃあ、今から俺の名前言ってみろ。』

「やだ!」


『言えよ。言うまで帰さねぇからな。』

(って顔近いんですけどぉ泣)

そんな私の考えが分かったのか、アイツは不敵な笑みを浮かべて

『何黙ってんだよ?言わねぇんならこのままキスするぞ?』

「ち、ちょっと待ってよっ!!」

そう言っている間に整った顔が近づいてくる…

(…えーい!!)

「ゆ、悠斗っっ」

するとアイツは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに憎たらしい顔に戻り

『よく言えました。次からそう呼べよ。』

「わ、分かったわよ。もういい?」

と横を通り過ぎようとしたとき、いきなり抱きしめられた。

「きゃっ――!?」

『もう一回…呼んで。』
「え?」

『だからっ!もう一回俺の名前呼べって。』

あまりにも言うものだから、さすがに断るわけにもいかず―――

「ゆ、悠斗―――」

すると抱きしめる力が強くなり、

『ありがと。』

んじゃ俺先行くから。と言って去って行った。

(いきなりどうしたんだろう…)

私には悠斗の行動が全くと言っていい程分からなかった―――――