軽く触れるだけ



甘くて優しいけれど


儚くて



すぐ壊れてしまいそうな
キスだった。




キスは初めてじゃない。



でも…




どうしてこんなに
涙が出るんだろう。







「!?なっ 嫌だったか?」



北山さんが
驚いた顔で聞いた。




私は首を左右に振った。






「嬉しかったです。
きっと今、私は世界で1番の幸せ者です。


もう二度と会えないかと思っていましたから。」







「あぁ、俺もだ。」





「はい…だけど

もう本当にこれが

最後だとわかっています」



私は真剣に北山さんを見た。




「……」




「もう会えない
もう触れられない。

そう思うと…どうしたらいいかわかりません。」