「ねぇ拓、この映画面白いね」



綺麗な笑顔がきらい。

だって、タクミがもっと好きになってしまうから。



「あのね拓、」



タクミを見つめる大きな瞳がきらい。

だって、タクミがもっと夢中になってしまうから。



「拓実…」

「なんだよ、真菜」



タクミの名前を呼ぶ優しい声がきらい。

だって、タクミも愛しそうに彼女の名前を呼ぶから。



「大好き、」



そんな言葉、言わないで。



ほら、



またタクミが幸せそうな笑顔になった。