「ねぇクロ、一人ぼっちは寂しいでしょ。寒い日に一人でいたらもっと寒くなるでしょ?」




そんなことない、だってそんなの慣れっこだもの。




「だから、また一人になろうなんて出ていったらダメだよ。クロはずっとここにいたらいいんだから。」




本当に、本当にお馬鹿なご主人様。

私の気まぐれでいつか出ていってしまうかもしれないのに。



だけど、



タクミの顔があまりに心配そうだったから



「ゴメンね」と鳴いてみた。



抱き上げる腕の力が強くなって、



タクミの体温が近くなって、安心した。



人なんて大嫌いだったのに…



おとなしくタクミの腕に抱っこされている私は、



いったいどうしちゃったんだろう。