思った通り、タクミの不意をついて部屋を抜け出すのは簡単だった。



簡単だったのだけれど…



目の前に広がるのは私の知っている世界じゃなくて、大きな建物と沢山の車もなかった。



私が見ていたのよりも低い建物がいくつかあって、



あとはずっとアスファルトが広がっていて、数台の車と自転車が停まっていた。



もし私が犬だったら、この広い空間を大はしゃぎで走り回っていたのかもしれない。



でも生憎私は猫だから、いったい何処まで連れて来られたのかしらと溜息をつくだけだった。