「んー、クロって名前が嫌だとか?」




しばらくそっぽを向いていたけれど、



腕組みをして必死に考える姿があまりに間抜けだったから、



私は気を許してしまったのかもしれない。



せっかく寝心地のいい暖かい場所に連れて来られたんだから、

しばらくここを利用させてもらおう。

こんなに気の抜けた人だもの。

不意をついて逃げることなんて、きっと簡単に決まってる。

嫌になったらすぐに出ていけばいいわ。



私は柄にもなくまだ腕組みをして考えている間抜けなご主人様に擦り寄った。