仕事を片付けて会社を出ると、雨は白い雪に変わっていた。



雪なんてめった降らないから、



なんだかすごく得した気分だ。



傘の心配をしていたのも忘れて



私は寒さの中に飛び出した。



雪は体温に触れると意外とすぐに溶けてしまって、私のコートを濡らしていく。



これじゃ小雨に降られたときと変わらないかもしれない。



このまま帰ったら、



「風邪を引いたらどうするんだ」といって、



彼は不機嫌になるのかしら。



その光景が思い浮かんでこっそり笑ってしまった。