目の前の赤い花を見て思い出したのは、



悲しい物語だった。



小さい頃…



何故かこの話をひどく気に入ったのは



私だけじゃなくて隣で悩む幼なじみの彼も同じだ。



「ねー、遅い。まだ決まんないの?」

「だからもうちょっと待てって。」

「優柔不断。」

「花のことわかんないんだからしょうがないだろ」

「なら花なんて辞めればいいじゃん」

「好きなんだよ、あいつが。」



こんなに待たされるなら、



一緒に言ってあげるなんていわなきゃ良かった。