―――はずだった のに―



「おい、野崎、起きろ」


頭にコツンと軽く当たった手。


「……誰?天使さん?」


わざわざアタシを起こしに
来てくれたの?


「人を勝手に天使にするなよ」

「え、あ、うー…」


なんだか聞き覚えのある声…


「…ったく…野崎、おきろ」


耳元で呟かれたその声は、


「高な…ムグッ…」

「馬鹿声がでかいっ!!」


――どうしてこうなった。
今、アタシは図書室で勉強してた。
それで寝そうになっちゃって…
意識を手放しかけた時に
高梨が来た。おっけ、把握。


「むーむー!!!」

「わり、余りにお前の声が
でかかったから」


口元は高梨の手によって
完璧に封鎖されている。

…耳元で喋るのやめい!!