……まぁ、そんな維奈だからおれは惹かれたんだろうけどな。
「維奈!!た…たろうちゃん、と仲良くなれるよう頑張るからな!!」
「うんっ!!あたしにもできることがあったら言ってね!!!」
「……ありがとう。…維奈…」
「え?コウちゃ」
さ せ る か よ ! !
「に゙ゃああああああっ!!!」
「ぎゃあああああああっ!!!!!!!!」
…おれ様の目の前でいちゃつこうなんざ100万年早いんだよ、ばーか。
すっかりビビったコウはそのあと、おれを菓子で釣ろうと必死だった。
………腹が減ってただけなんだからな、別にお前になついたわけじゃないからな!!!!
…ま、なにはともあれ。
「ねぇ維奈、来週はたろうちゃん連れて新緑公園に行こうよ!」
「やったー!約束ねっ」
……維奈が幸せなら、おれは文句ねぇんだけどな。
―――そして半年後、現在。
高校を卒業した維奈とコウが同棲を始めるのは、また別の話だ。
「たろうちゃん、一緒にお風呂入ろー♪」
「ぶっ!!!!」
「え、僕じゃなくて!?」
「あたしコウちゃんとは嫌だよ、あはは!」
「…………っ!!!」
……それなりに、おれの飼い主様は幸せそうだ。
【了】