カチ、コチ。
カチ、コチ。
規則正しいリズムを刻む秒針の音で意識が少し覚醒した。
「……うー…ん…」
ごろんと寝返りを打つと、唐突に冷気を纏った風が頬を撫でた。
ぶるるっ!!
睡魔なんて一瞬で吹き飛ぶ寒さだ。
「うぉっ…さ、寒ぃいいい…!!!」
慌てて頭からすっぽりと布団を被り、身をぎゅうっと縮こまらせた。
ぎょろぎょろと目を動かしどこから風がやってきたのか元を辿る。
っておい!!
気付かなかったおれも悪いけどな、窓全開じゃねぇか!!
つーかまだ雨降ってるし…降り込まねぇうちに閉めといてやるか…。
…べ、別におれが寒くて死にそうだからとかじゃねぇからな。
布団からのそりと緩慢な動きで渋々這い出て、リビングの窓をぴしゃりと閉めた。
同時にはためいていたカーテンがおとなしくなる。
急に静まり返った部屋には時計の音だけがカチコチと絶え間なく響く。
「思ったより雨、強いな…」
まさかとは思うが…維奈のやつ、傘持ってんだろうなぁ…?
……どこに行ったのかわからねぇから、迎えなんぞにも行けない。
い、いや!!
このショウ様が迎えなんてめんどくせぇことするわけねぇだろ!!
「…………………」
………に、にしても。
帰ってくるの遅くないか、あいつ…?