維奈のものらしき机の上には、写真が広げてあった。
どれも学校で撮ったようで、皆が皆、同じ制服を着ている。
…この制服、確か公園の近くにある鴇邨(ときむら)高校のだよな。
その中でも一際目を引いた写真は、維奈と男のツーショットだった。
「なるほどなぁ…」
にやにやとしながら、おれは更に写真を広げた。
探してみると何枚かあり、手を繋いで撮ったものもあった。
男の方はわりと普通に笑っているが、維奈の顔は真っ赤だった。
いかにも、恋する乙女だ。
「こりゃあ…彼氏、だな」
男の勘でそう勝手に決め付け、暫く写真に見入った。
背丈はまあまあ。
いかにも優しそうな、少し頼りなさそうな風貌。
ぼけっと…いや、おっとりした維奈とは相性が良さそうに思えた。
「…しっかしあいつ、高校生だったのか」
ぱらぱらと写真をめくる手を止め、おれは呟いた。
まぁバイトって言ってたから当たり前だけど、なんつーかもうあの見た目はどう考えても中学生以下だろ。
失礼なことをいけしゃあしゃあと述べ、おれはふと考えた。
……このままここにいて良いわけ、ねぇよな。