「っ!!!!!!!!!!」



突然視界が歪んで、気付いた時には一面が真っ白だった。


心臓が止まる。


そう錯覚するくらい、息が詰まって苦しい。


慌てて飛び起き周りを見回すと、あの女の家で間違いなかった。


……良かった。



「(……ほんとガキくせぇよな、おれ…)」



バクバクと早鐘を打つ心臓の音を聞きながら、静かに瞳を閉じた。


……どんなに願っても、家族は帰ってこない。



「………んっ……たろう、ちゃん…?」



その声にハッとして顔を向けると、おれが眠っていた布団の横にあいつが丸まって眠っていた。


まるで、猫みたいに。



「…どっちが飼い主かわかんねぇだろ、ばか」



そんなとこで寝てたら風邪引くぞ、…ああ…バカは引かないんだったな。


そんなことを思いながら、あいつのエプロンをツンッと引っ張った。


なぁ、早く目ぇ覚ませ。


お前のバカみたいな笑顔見てると、安心できるんだ。





……お前が起きたら、名前くらいは覚えてやってもいいぞ。