―――なんで、今のおれはひとりぼっちなんだ?
あんなに周りには人が溢れかえっていたのに、なんで、なんで。
なんで。
家族が全員、死んだんだ?
「……母さん?」
いつものように近所をぶらぶらと散歩していると、突然雨が降ってきた。
今日は晴れだって言ってたくせに…。
今朝ニュースに出ていた天気予報士に向かって毒づきながら、おれは散歩を早々に切り上げ家に戻った。
…何故か、真っ暗だった。
どんな時でもユリエさんが家にはいたから、家に灯りが灯らない日なんてなかったのに。
家に入った時からプンプンと臭う正体不明の匂いに眉を顰めながら、歩を進める。
嫌な予感が、とぐろを巻くように胸に渦巻いた。
「……なぁ、母さん。父さんもミユキもいねぇのか?」
返事はない。
ひたひたと煩い床に舌打ちをしながら、いつも皆がいる部屋に入った時だった。
「―――――っ!?!?!?!?!?!?!?!?」
嗅覚を抉り取られるかと思うくらい強烈な匂いが、一気に鼻を突いた。