星が降ってきそうな夜、とはよく言ったもんだ。
この都会にいると普通は巡り会えない夜だけどな。
なんたっておれは毎晩毎晩、飽きもせず空を見上げてたんだ。
そこら辺でのうのうと生きてる奴等よりは多分、夜の暗さも闇の怖さも知ってるぜ。
あん?
“見上げてた”って過去形なのはなんでかって?
おお、おまえ鋭いな!
よく気付いた、おれ様が褒めてやるぜ!!
…以前のおれには帰る場所なんてなかったんだ。
たった今死んでも文句はねぇ。
…ってくらい、生に執着はなかったし。
その日暮らし―――イマドキの言葉で言うなら、ホームレスってやつだな。
そんなおれは今、2人暮らしをしている。
女と、だ。