「あのっ!ちょっと待って下さい!」


車に乗り込もうとしてた並木陸を呼び止めた―


「何?」

うざったそうに睨んできた並木陸―


「あなた並木ってあたしと一緒の名字ですよね。何者ですか?

さっきのもめようからすると親戚とかじゃないですよね!?」


キッと睨んで言ってやった


「何者ってお前―

なーんにも知らんねんな。

可哀想やから教えてあげるわ―

俺とお前は兄弟。

だだし、俺もお前も母親は違うけどな―」



は?え?何?兄弟?


「え…?」


びっくりしすぎて言葉が出てこない。


「じゃ…あたしのお…兄さん…?」


「せやな。悲しい繋がりや―」


じゃあ、あの女とお父さんの子供が並木陸で、

お母さんとお父さんの子供があたしで?


血は繋がってる?って事?


ずっとずっと騙してきたん?


ずっと―?


20年間も―?



「お前泣いてんの?」


「泣いてないし…」


「車…乗る?」


「いやや―」


またもや走り出した体

何処に向かってるかわからないけど


雨の中泣きながら走った


何も知らなかった自分が恥ずかしくって―

悔しくって―


ちょっと走った所でしゃがみこんで泣いた



すると後ろからプーッとでっかい音で鳴るクラクション―


上を向くとその人が立ってた―

“並木 陸”

「風邪ひくで―乗り」


素直に助手席に乗り込んだあたし


呆然と前を向いてた―

だから雨は嫌いやのにな―