『…あ、あ、茜ッ?!』
勢い任せにベッドから飛び起きる。
うわ、ヤベ。
今、噛んだし。
噛みまくりだし。
「…今、電話まずかった?」
小声の茜が問う。
『あ、いや。全然』
「…機嫌、悪いみたいだから」
当たり前だけど。
茜は俺の寝起きを知らない。
だからそう思われても仕方ナイんだけど…。
『…ちょっとウトウトしてただけ』
「あ、邪魔しちゃったね」
“じゃあ、切るよ”なんて言いだす茜。
好きな女からの電話。
拒むヤツがどこにいるよ。
ただでさえ“茜不足”。
今朝のぐらいじゃ全然足らないんだ。
『…俺は声聞けて、すっごい嬉しいんだけど。
それに、茜から電話なんて初めてだし』
電話だから顔なんて見えないんだけど。
ケータイ片手に。
顔を赤くしてる茜が想像できた。