「や〜、あれはその〜…」
『さっきの女に“彼女いるし”って言ってたよな』
「それはあれだ。
彼女いるって言った方が早いから」
やっぱりおかしい。
普段の涼真なら。
“ウザい、めんどい、やってらんねー”
そう言ってナンパも拒否るはず。
彼女もいるならフツーに“彼女できた”って言えるはず。
……なにかおかしい。
……ひょっとして。
俺のカンが正しければ。
ひょっとしてるカモしれない。
『…お前の彼女って…』
「わーッ!!バカッ!!デカい声出すんじゃねぇ!!」
…いや、お前の声の方がデカいって…。
今、耳が“キーン”ってなったぞ?!
気を取り直して。
コホン。
軽く咳払いをして言葉を発した。
『…一美センセイとつきあってる?』