「柏…」

そう呟き、男は柏の首筋に顔を埋めた。


「─あ…っ!」

一瞬だった、けれど何度も体験してきたその感覚に柏は『しまった』と思う。


「ちょっと…!」


柏は首筋を押さえ、顔を真っ赤にして男を見た。

たぶん、いや確実に。
この手のひらの下では肌が赤く色付いているのだろう。



「しるし」

潔く離れて男は言った。 


「いやっ、まだ私2時間学校に居なきゃならないんだけど…」


「大丈夫。髪に隠れて見えないって」

晴れ晴れしく笑い、男は柏をなだめた。