10分経っても祐ちゃんの姿は現れず、瑠菜は足を動かした。

「...帰ろっと」

傘をくるくる回すのはとっくにやめて、少し悲しい気持ちで歩きだした。

「帰っちゃうの?」

後ろから突如聞こえた声に振り返る。

「っ...!祐ちゃん...」

「俺お腹空いてるから、その手に持ってる美味しそうな奴ちょーだい?」

目の前にいたのは
他でもなく祐ちゃんだった。

「お...遅かったじゃん」

「これでも誰かさん待ってると思って車で急いで送ってもらったのー、感謝してくださーい」

ハハッと笑う祐ちゃんが

愛しくてたまらなかった。