お弁当は2人で食べることになった。
天気が良いから外で食べたい、という美々の希望であたしたちは中庭に出ることにした。
いつも一緒に食べていた悠紀さんや美里さんは
「芙椅さん、抜け駆けは良くないわ」と、冗談っぽく笑いながら、「中庭は広くないから、遠慮しておくわ」と、送り出してくれた。

あたしは、昨日の事を考えて美々の顔をまともに見られなかった。
「ふぃーちゃん、中で食べたかった?」
そんなあたしを見て美々が不安そうに顔を覗き込んできた。
「ううん。そんなんじゃないの。」
慌てて首を横に振る。
「心配しないで」


9月に入ったばかりのこの時期は、まだ残暑が厳しい。
「ちょっと暑かったかもね?」
美々が困ったように笑った。
「誘っておきながら、ごめんなさい」
「大丈夫。木陰はある程度涼しいし、ね?」