バレンタインが近くなったある日。
あたしは帰り道で見かけた可愛いラッピングのバレンタイン用のチョコを手に、いそいそと病室へと戻っていた。
一目ぼれで買ったチョコ。
少し早いけど、お母さんに渡して一緒に食べようと思ったから。
いわゆる「友チョコ」ってやつかな。
お母さん、チョコが大好きだったから、きっと喜んでくれると思う。
早く渡したい気持ちで一杯で、あたしはうきうきしながら病室へ向かい、
「お母さん、ただいま――」
そう言ってがらりとドアを開けた。
「あ……」
いつもはベッドに横になっているお母さんが、上体を起こし、あたしのほうを見て「おかえりなさい」って言ってくれる。
でも――今日は少し違っていた。
「おかえりなさい、さつき」
お母さんはちゃんとベッドにいたけど。
「――こんにちは」
今日は、そのお母さんの近くに男の人が椅子に座っていた。
あたしは帰り道で見かけた可愛いラッピングのバレンタイン用のチョコを手に、いそいそと病室へと戻っていた。
一目ぼれで買ったチョコ。
少し早いけど、お母さんに渡して一緒に食べようと思ったから。
いわゆる「友チョコ」ってやつかな。
お母さん、チョコが大好きだったから、きっと喜んでくれると思う。
早く渡したい気持ちで一杯で、あたしはうきうきしながら病室へ向かい、
「お母さん、ただいま――」
そう言ってがらりとドアを開けた。
「あ……」
いつもはベッドに横になっているお母さんが、上体を起こし、あたしのほうを見て「おかえりなさい」って言ってくれる。
でも――今日は少し違っていた。
「おかえりなさい、さつき」
お母さんはちゃんとベッドにいたけど。
「――こんにちは」
今日は、そのお母さんの近くに男の人が椅子に座っていた。