「で、期限まであと一週間だというのに見つからないのが不安になってここに足を運んだ、というわけですか。」

事務所で午後のティータイムを楽しんでいた俺の前に現れた茶髪の少女。

彼女が西園寺財閥のお嬢様、西園寺彩音（さいおんじ　あやね）、今回の依頼者だ。

「本当にちゃんと探してるんですよね？その「はいんつ」さんと「まるせいゆ」さんが。」

彼女はどうやら人の名前をあまり覚えられないようだ。

まあ、毎日大勢の人と会う必要がある財閥の令嬢さんがいちいち会った人の名前を覚えていられるという方がおかしいのだが。

「ええ、彼等は優秀ですよ、マスターとして保証します。」

とりあえず優先するべきは不安にさせないことだ。

大金が手に入るチャンスだし、冷静に対処するか。

「では、そのお二方のどちらかとご同行させていただく許可を得たいのですが、よろしいですか？」

「・・・えっ？」