え?



拓海くんの声に、女のコたちが一斉に振りかえって、道を作った。



わー、さすがミスターですね。


まるでモーゼのようですよ。




「あ、兄さん!」




小柄な陸斗くんがひょっこり顔を出して、拓海くんを見てうれしそうに笑って駆け寄ってきた。



なるほど、騒ぎの中心は陸斗くんだったのかあ。


そりゃあこんなかわゆい男のコがいたら、声かけたくなっちゃうよねー。


囲みたくなっちゃうよねー。



わかるわかる、よーくわかるよー……って、そうじゃなくて!




ど、どどどどどどどど、どうしよう!?



昨日の今日で、また陸斗くんが学校に来ちゃうなんて!



陸斗くんてば、かわいいけどKYだよ~っ。


いやいやKYな陸斗くんもあたしは好きだけど。



でも……。



ちらっと拓海くんを見上げると、思いきり眉間にしわを寄せていた。


これは、血の雨が降るんじゃ。