低い声に指摘されて、あたしはあわてて口をおさえる。


やばいやばい、気にさわったみたい。



近いから顔見られないけど、絶対拓海くん、あの黒い笑顔になってるよ~。




「そんなに俺と一緒に帰れてうれしいか」



「す、すっごくうれしいです~っ」




ひ~こわいっ!



これのどーこが告白だよって話ですよ。


篠田さん、あなたが心配するようなことは、これっぽっちもありませんよーって、言ってあげたい。



主に女子からの注目を浴びながら生徒玄関を出ると、校門のところに人だかりができていた。


これまた主に女子の。




「なんだろうね? すごい人集まってる」



「……嫌な予感がする」



「え? 嫌な予感?」




近づいても、おチビのあたしには人だかりの中心が見えなかったんだけど、拓海くんにはばっちり見えたみたい。



額に手を当てながら、小さなため息をついている。





「おい、陸斗。なにやってる」