真っ赤なバスに乗り田中の元へと向かう
真っ赤なバスは市営バス、赤字路線の象徴だ。
来月には赤字路線は、廃止される。そんな悲しみを纏い走り続ける。


バスの揺れが気持ち悪い、俺はまだ小児用バファリンしか服用できない、
そんな複雑な年頃だ。

小一時間、内なる自分との戦いに耐え、第3倉庫に到着した。


「今回ばかりはマジでヤバかった。」
脂汗を青いハンカチで吹きながら、呼吸を整える。


空気がうまい。

生きているって素晴らしい、そう思いながら深呼吸をする。

そのまま、ラジヲ体操第一に移行しようとした、その瞬間。

俺は周囲の異変に気づいた。

ヤツラに囲まれている。


「そこにいるのは、わかっているんだ。さっさと出てきやがれ。」


雰囲気で声に出しては見たが、誰もいなかったらどうしよう。

そんな不安をよそに人影があらわれる。


「これは、マイクの分」
それっぽい事を叫び殴りかかる。
両手で同時に殴る俺のパンチは破壊力も、もちろん二倍だ。