あれから何時間たったんだろうか。

俺の感覚が麻痺したのか、あれ程まで気持悪いと思えた。
地を這う虫の大群には、もう何も感じない。
そういえば、昼にホットケーキを食べたっきり何も口にしていないな。


『この虫、食べれるかも』
その時の俺は、正気を失っていたのかもしれない。

木の実の殻を割るように、虫の固そうな部分を千切り口に運んだ。

『不味くはないな』
ダムに亀裂が入るように俺の中で何かが崩れた。
取り憑かれたように次から次へと虫を口に運ぶ

自己暗示をかけるかのように
「おいしい…おいしい…」と言いながら