…いつの間にそんな技術を習得してん、いっちゃん。
「ふふ。……あんなぁ、いっちゃん。」
「ん?」
「今日おとうさんとな。はじめてちゃんといっちゃんの話してん」
おとうさんの口から“いっちゃん”っていう言葉が出た。
なんかそれってめっちゃ不思議で、なんだかうれしい。
「どういう経緯でお付き合いなさったのか〜とか聞かれてな。いや、恥ずかしいから教えへんかったねんけど」
「ははっ、そっか。みとものお父さん…どんな人やろなぁ。怒ってなかった?」
「え?」
「娘はやらんぞ〜!みたいな」
「あははっ!!言うてない言うてない〜!でもちょっと緊張しとったけど」
…もし同棲しとるってゆうたら、どうなるんやろ。
びっくりするやろな。
それはやっぱり、ちょっと怒るんかな。
いつかいっちゃんをおとうさんとおかあさんに紹介する日が来るんやろうか。
きっとその時は、おかあさんがいっちゃんに質問攻めで、いっちゃんよりおとうさんが緊張してんのやろな。
そう思ったら、思わず口元がゆるんでしもた。